買取のこと、公開します

リッチの定義はどんどん変化してきた。 家が名家だとか親が金持ちだとか先天的なリッチ層とは異なり、ビジネスで成功した新興経営者たちや、高収入や共働きの会社員たち、豊富な資産を持つマニアたちがおカネを持つニューリッチ層として台頭してきた。
むしろ後天的なリッチ層である。 彼らの特徴は、ラグジュアリーな商品・サービスを選別・購入する動機が、先祖代々の取引があるとか既存顧客の紹介ではないことが多い点だ。
自分自身の価値観によって商品・サービスを選別して消費決定するのである。 ラグジュアリーに対する価値観・消費動向そのものが親から引き継がれていない。
これからは提供事業者が顧客を選別するのではない、顧客側(ニューリッチ)が商品・サービスを選別する、そんな時代が到来したのである。 もう一つの特徴は、彼ら(ニューリッチ)はデフレ、低価格商品・サービスの消費者でもあるということだ。
生まれた時から金持ちのお坊ちゃま・お嬢様とは違って、マックの100円パーガーを買ったこともあるし、ユニクロのフリースだって1枚は持っているだろうし、100円ショップにも何度も足を運んだことがあるだろう。 ある程度おカネを持つようになった今でも購入したり通ったりもしているだろう。

1人の中で消費の二極化が起こっているといわれているが、低価格商品・サービスの価値を経験しながら育ってきた人は、後天的条件(ビジネスで成功するとか、高い年収を貰うようになるとか)でリッチになったとしても、これまでの消費感覚を全て捨て去るわけではない。 自分自身の価値観から使い分けているだけのことだ。
ニューリッチの台頭によって「ラグジュアリーの世界」は、手が届かない世界から、手が届かなそうで届く世界へと変わっていった。 ニューリッチは親から代々引き継ぐ消費価値観を持っておらず、自分自身の消費価値観を重視する。
低価格商品・サービスの消費経験も大いにあるため、それとも比較・吟味する。 ラグジュアリー商品・サービスの競合相手は同じラグジュアリーマーケット内だけでなく、低価格商品・サービスも競合相手でもあるということだ。
ニューリッチを顧客として攻略するのは、とても難しい。 これからご紹介する事例は、多様かつ新しい消費価値観を持つニューリッチを攻略しているラグジユアリー・マーケティングの事例である。
彼らはニューリッチに対して、どんなコンセプトと提供商品・サービスによって攻略しているのか。 その成功のカギは何であるのかを、紐解いていきたい。
レクサスについて知識が少ない人のために簡単に説明しておこう。 レクサスとはトヨタ自動車の高級車ブランドで、豪華などを意味するドイツ語を語源としており、1989年に北米でデビューヨーロッパやアジアなどで展開して、高級車ブランドとして販売している。
米国ではあのBMWやベンツを押さえて高級車販売トップに君臨した。 欧米マーケットで成功したこのレクサスを、何年間もの長く綿密な準備期間をかけて日本市場に投入したわけである。
その背景には、日本でニューリッチ(新奥富裕層)が台頭してきたことと、自動車消費の二極化がある。 自動車消費の二極化とは、中型セダン車の販売台数が年々減少するのに代わって、売れ筋が高級輸入車といったハイプライスゾーンと、ミニパンやコンパクトヵーなどのロープライス(リーズナブル)ゾーンに二極化したことを意味する。

レクサスがなぜ「ラグジュアリー・マーケティング」なのか。 富裕層をターゲットにして、高級車を販売するマーケティングを志向しているからである。
レクサスのラグジュアリー・マーケティングを解剖してみよう。 まずレクサスのターゲットは医師や経営者といった高所得者富裕層である。
更に前章で述べたような社会変化の中で生まれた、ニューリッチ(新興富裕層)の獲得を狙っている。 こういった人たちはベンツやBMW、ポルシェ、ジャガーといった高級外車の所有比率も高く、車を「リッチ・成功のステータス」シンボルとしてとらえている人も多い。
大手中古車販売会社系のガリバー自動車流通研究所の調査によると、年収が高いほど「レクサス」に興味を持つ割合も多くなり、BMWやベンツ等の高級車、フランクミュラーやロレックス等のブランド時計を愛好する層ほど「レクサス」に興味を持つ割合も多くなるという結果が出た。 レクサスはこういったニューリッチが所有する高級外車からの「乗り換え」、もしくはトヨタ車のユーザーから、特にセルシオやソアラ、クラウンといったハイエンドラインからの販売商品。
レクサスの販売車種は現段階ではSC(スポーツクーペ、旧ソアラ)、GS(グランドセダン、旧アリスト)、IS(インテリジェントスポーツセダン、旧アルテッツア)の三種類。 プライスラインはSCが680万円(あくまでも本体参考価格、以下同じてGSが520〜630万円、ISが390〜525万円であり、これまでのトヨタ車ひいては日本車のプライスゾーンよりも遥かに高いことがわかるだろう。
ちなみに円を超えるといわれている。 これだけのハイプライス商品づくりのために、トヨタの最高峰技術を投入していることは言うまでもない。
トヨタは独自のデザインフィロソフィ「1'finess」を掲げるとともに、約5高技術をレクサスが優先して使うと発表している。 グローバルレベルでのトヨタの技術・品質の高さは世間に知れ渡っていることであり、「技術や品質が圧倒的に高いからレクサスはラグジュアリーだ」ということにはならない。
ここで特筆すべき点は「販売方法」がラグジュアリーだということだ。 レクサスはこれまでのトヨタ車同様にショールームを持つ販売店で販売される。
このショールームはレクサスオンリーの販売店である。 他のトヨタ販売店が 種類以上の車種を取り扱っているのに対して、レクサス販売店はわずか3種のみ(2006年には4種)しか取り扱わないことになる。
2000億円をも投資して全国143店舗の「レクサス」ショールーム販売店を新設した。 これまでのトヨタ販売店に比べて店舗面積が広く、空間も広く設計し、商談ルームも独立した空間を確保しており、外装・内装ともに高級感を漂わせている。

床材には御影石や大理石などを使い、まるでホテルのロビーのようなしつらえである。 力を入れているのは、従業員による「最高のおもてなし」の徹底である。
ショールームの入り口でのお出迎え、フロントで荷物を預かり、高級茶での一服、マンツーマンでの個室接客、最後のお見送り・お土産(高級菓子)の準備まで、ホテルマン並の接客サービスで対応する。 原則として近隣にチラシをポスティングするなどの外商活動はやらない方針である(販売店によって温度差はあるようだが)。
レクサスはオープンに備えて、リッチが満足する特別なサービスを実現するために、従業員の徹底した接客訓練を行った。 レクサス従業員の専門研修施設や、シティホテルでの実地研修、作法教室での研修など、単なる販売商品(レクサス)の特徴やセールスポイント、セールストークの研修だけではなく、挨拶の仕方、立ち居振る舞い、言葉遣いなど、ホテルマン並みの教育研修を徹底させた。
トヨタ車の販売員を育成するのではなく、レクサスの専任販売員を育成しようとしている。 同時にプロモーションにも投資をしている。
レクサスだけを前面に出したCMや雑誌広告、雑誌特集など、オープン前の認知度アップに莫大な投資をしている。

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